世界の宇宙予算概況:ESPIレポート42から

欧州宇宙政策研究所(European Space Policy Institute:ESPI)から、世界の宇宙活動に関する年次レポート「Space Policies, Issues and Trends in 2011/2012」がPDF公開になりました。

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まだちょぼちょぼ読んでいる途中ですが、気になる各国宇宙予算状況のページだけざっくり抄訳を作ってみました。自分用のメモなので正確さは保証しません。詳しくはレポート本体をあたってください。

 

2.世界の宇宙経済

本章では、2011年の各国公的宇宙予算と民間セクターの宇宙関連収益について述べる。直近12カ月の宇宙に関連する市場価値と金融パフォーマンスの包括的評価になる。注意すべきは、入り組んだ宇宙活動の金融・市場価値を見積もる国際的な基準はなく、各国宇宙機関が宇宙活動を厳密にカテゴライズし配分する基準も持っていないことであろう。また、軍事的宇宙活動のように各国の宇宙活動には不透明な部分があるため、集計はより困難になっている。さらに、商業宇宙活動の企業は財務レポートを定期的に発行しているものの、世界全体で水平に企業活動を比較する統合された方法はない。

2.1 世界の宇宙予算と収益
2011年、世界の宇宙予算は増加傾向にある。民間宇宙予算は総計449.2億ドルになり、宇宙予算全体では総計727.7億ドル。予算増加率は2010年からさらに加速。CAGR(年平均成長率)では、2004年から2009年にかけての9%に比べれば、2009年から2010年にかけては2%に下がったものの、2010年から2011年にかけては6%となっている。公的機関の宇宙予算については次項で述べる。

2012年宇宙レポートでは、商業宇宙活動に関する収益についても解説する。2011年、通信放送、地球観測、測位などの商業衛星サービス収益は1105.3億ドル(2010年の1017.3億ドルから9%増)。宇宙機・宇宙プラットフォーム製造、打ち上げサービス、地上設備などの宇宙関連商業インフラは、総計1064.6億ドルに達している。(2010年にはなかった打ち上げ能力14%増と一致している)。2011年の商業宇宙活動利益は2169.9億ドルと結論付けられる。

2.2 宇宙機関の予算概説
2011年、国際的な機関を含む世界の宇宙機関予算は727.7億ドルと推計され、2010年に比べて名目上6%減となっている。宇宙予算のうち449.2億ドル(全体の61.7%)は民間宇宙予算、278.5億ドル(38.3%)は防衛目的の予算である。Euroconsult社によれば、2011年の民間宇宙予算は403億ドルとしており、防衛宇宙予算はおよそ300億ドルであるとしている。防衛宇宙予算の比は民間宇宙予算に対して、370億ドル(全体の52%)が民間宇宙予算、340億ドル(全体の48%)であった昨年より減少しているといえる。

the Space Report 2012を元に、278.5億ドルと推計される世界の防衛宇宙予算のうち、264.6億ドル、95%がアメリカのものであり、昨年に比べ大きく増加している。予算の担い手は米国防総省 (DoD), 米国家偵察局 (NRO)、 米国家地球空間情報局 (NGA)など。ただし、防衛宇宙予算に関しては、すべてが公表されているわけではないため、不確実な部分が存在することを明記すべきである。とはいえ、米国の宇宙活動が世界の宇宙活動、特に防衛分野において力を行使していることは間違いない。

図2.1 2011年、主な宇宙勢力の予算状況

各国宇宙予算の構成比は2010年とほとんど変わらないが、中国は例外で2011年に大きく前進している。リードポジションと最大の予算額を維持しているのは相変わらずアメリカ、民間宇宙予算は207.9億ドル、防衛宇宙予算は264.6億ドルに到達する。集中的な打ち上げを伴う軍事活動やサイエンスプログラムがなかったという要素を考慮しても、ロシアの宇宙予算が低いことは念頭においておくべきである。中国の宇宙予算が30.8億ドルとなりフランスの22.7億ドルを抜いたことも注意すべきであろう。2010年の段階で中国の宇宙予算は24億ドルであり、フランスの25億ドルに迫る勢いであった。インドは世界で7番目の宇宙予算規模を維持しており、続くイタリアとの間には大きな差がある。

19の加盟国で構成される欧州宇宙機関、ESAは2011年、39.94億ユーロ(58億ドル)の予算を獲得し、37.45億ユーロ(46億ドル)であった2010年から6.7%増となった。19の参加国中上位5か国は、最大の貢献をしているフランスが18.8%、ドイツが17.9%, イタリアが9.5%, イギリス6.6%, スペインが5.1%となっている。日本の宇宙予算は3094億円(38.4億ドル)で、2010年の3390億円から8.7%減と大きく減少している。日本の宇宙予算削減は、世界の宇宙予算削減の中で大きな割合を占め、世界の宇宙予算における合衆国、欧州、ESA、ロシアの集中度は2010年の82%から2011年には80.4%になった。

宇宙セクターでの各国の取り組みを具体的に測るには、GDPとの関連を考慮する必要があるが、単に絶対値だけをみていると、経済状態のことなる国同士(物価も賃金水準も違う)を比較することになり、偏ったイメージを描きかねず、ミスリーディングになる。

図2.2 2011年GDPにおける各国宇宙予算の割合

米国の宇宙予算は宇宙分野で巨大な雇用を生み出しているものの、投資額は先細りか縮小傾向を示している。先に述べたように、ロシアには注意を払う必要があり、GDPに占める割合は0.03%から、2011年に0.22%の増加にとどまっている。GDPに占めるフランス宇宙活動の割合は0.08%に減少し、インドの0.09%がこれを抜き去り、続いて日本の0.07%となっている。他の欧州宇宙先進国の宇宙活動における支出は、GDPに対して0.05%かそれ以下になっている。

米国は宇宙活動予算では主導的地位にあるものの、国民一人あたりの支出は151.59ドルで2010年から2.64%減。フランスの宇宙予算は国民一人当たり35.86ドルで11.24%減。Euroconsultのレポートによれば、国民一人あたりの宇宙予算は、ルクセンブルグでは44ドルで10.6%増、ベルギーでは23.55ドルで10.05%増だという。こうした支出増はESA活動参加によって起きたもので、現在ベルギーは2012年ESA予算の4.1%、ルクセンブルクは0.3%を担っている。ノルウェーは国民一人あたり21ドルと大きな変化はなく、一方日本は9.9%減となっている。合衆国、フランス、イギリス、カナダ、日本、スペイン、韓国で国民一人あたりの宇宙予算額は減っており、減少傾向は改めて指摘するまでもないだろう。しかし、ロシア、ドイツ、中国、インド、イタリア、ルクセンブルク、ベルギーなど多くの国で国民一人あたりの宇宙予算額は増加している。信頼できるソースでもインドと中国の状況に関して食い違いがあるのは、両国の社会経済的特徴のためであろう。

図2.3 各国国民一人あたりの宇宙予算額

図2.4 GDPに占める宇宙予算の割合と国民一人あたりの宇宙予算額比較(米露中心)

図2.5 GDPに占める宇宙予算の割合と国民一人あたりの宇宙予算額比較(図2.4の下半分拡大図)

GDPに占める宇宙予算の割合と、国民一人あたりの宇宙予算を比較したのが図2.4と図2.5である。図2.5は、米国とロシアを除いたその他の国々がより詳細にわかるよう拡大したものだ。米国はGDPにおける宇宙予算でも、国民一人あたりの額でも突出している。フランスは国民一人あたりの額では第二位をキープしており、一方、第三位だった日本をロシアが抜き去った。ただし、後ろの二つを比較するに当たっては、報告の不確実性があるため、別の基準が必要だろう。ロシアはGDPに占める宇宙予算のパーセンテージでは第二位を維持し、国民一人あたりの宇宙予算額が米国より大きく落ち込んだとしても、その点では中心線を大きく超えている。宇宙勢力第二群のグループでは、ドイツが両方の値でカナダ、イタリア、英国、スペイン、韓国をリードしている。中国、インドは、GDPに占める宇宙活動では同程度の大きさを見せているが、国民一人あたりの宇宙予算額では他に後れを取っている。数値から見えるこうした状況は、主に人口の大きな国と他の国との比較によるものと考えられる。

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