XCOR ピストンポンプ採用ロケットエンジン開発中

The XCOR Hydrogen piston pump

先日、XCOR Aerospaceのプレスリリースを元に、新型エンジン向けピストンポンプの開発についてニュース記事を書きました。

エックスコア 新型液体水素エンジン開発の目標達成を発表(Responce.jp)

「XCORはターボポンプではなく、ピストンポンプでロケット上段エンジンを開発しようとしているのか!」との反響をかなりいただきました。しかも、EELV(発展型使い捨てロケット)の上段エンジンとして、現行のロケットダイン開発、RL 10の後継としようというのです。そもそも、私もXCOREといえばLynx、商用弾道飛行というイメージしかなかったので、ULAといっしょに政府衛星用ロケット向けのエンジン開発をしていたとは驚きです。

記事中で、”XCOR水素ピストンポンプ” がEELVの上段エンジンに採用されてRL 10の置き換えになると思いっきり言ってしまっています。XCOR公式ではっきりそう言っているわけではないのですが(少なくとも私は見つけられていない)、複数の報道を総合したものです。spacenes.com記事でもULAのコメントとしてRL 10の名前を挙げつつ、上段エンジン供給に触れています。こちらの記事にはXCORのサイトからリンクがありますので、記事内容を是としたものと考えました。

上記記事によると、XCORのピストンポンプエンジンが実用化され、搭載したロケットが打ち上げられるのはかなり先のことです。ULAでアトラス、デルタのプログラムを担当するジム・スポニック副社長のコメントでは”the next decade”だということですので、早くても2020年以降ですね。

EELVと後継上段エンジン開発については、こちらの宇宙政策委員会 宇宙輸送システム部会第2回JAXA提出資料 その9 を参考にしています。

低コスト上段エンジンを開発するにしても、なぜピストンポンプなのか。ここはもっと知りたいところですよね。記事にはあまり細かいことは書けませんでしたので、参考にしたXCORのブログ記事のドラフト訳を置いておきます。ここ誤訳だぞ、等のご指摘があればぜひ。

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XCOR Piston Pumps – the Holy Grail

冒頭あいさつ省略

XCORのロケットピストンポンプは、従来のロケットエンジンに対して推進機関の全体的なデザイン簡素化する。低圧の液体酸素と同様のケロシンを使用することで輸送機全体の重量を低減し、ロケットエンジンの運用を「ガスを入れたら打ち上げ」を可能にすることで、輸送機の迅速な対応をも可能にする。

通常、高性能ロケットエンジンでは複雑な設計の特徴、過酷な内部動作条件(ゆえに、特殊な材料を必要とする)、を持ったターボポンプを採用しており、最初に設計された推力の範囲に縛られ、一般的にきわめて熟練かつ高給の技術者がポンプ製品を製造し、維持するために必要とされていた。現在の高性能ロケットターボポンプの動作時間はおよそ30分(これより短いことも、長いこともある)で、それが使用できなくなる前に交換する必要がある。使い捨てロケット上段用の優良なターボポンプは、1台あたり50万ドルから数百万ドルのコストがかかる。

それにくらべて、XCORのピストンポンプは特殊な製造プロセスや材料を必要とせず、精密機械工場で容易に製造可能だ。このポンプは、一般的な工場で専門学校の卒業生やFAAが認可するAirframe & Power Plant (A&P) 航空整備士のジュニアライセンス取得者であれば、数時間で取り扱えるようになる。XCORのロケットピストンポンプは、ローリングテスト機に取り付けてチェックアウトを完了したその日のうちにリンクスに搭載することが可能だ。購入から組み立てまで全て含めた価格は、同等の性能を持つターボポンプより一桁安い。

ロケットピストンポンプは、定期的に予防的メンテナンスとして内部の損耗、裂け目のチェックとシール部の交換を受け、ポンプ性能を確保して打ち上げに臨むことになる。XCORは、ロケットピストンポンプをリンクスで、定期的な予防的メンテナンスを施しつつ何千ではないまでも何百時間と使用すること考えている。かつ、1回3分間のフライトでロケットの打ち上げ回数をもっと増やそうというのだ。

各ピストンポンプは、各々異なる速度で異なる量の推進剤を、かなり広い範囲の推力レベルに対応する各種のエンジンに供給できる。また、同時に複数のエンジンに推進剤を供給することも可能だ。

一例として、XCORはあるエンジンの推力を30%向上させようと考えている。ターボポンプの世界では、1~2年の時間をかけ、100万ドル以上の単発的な開発を行って、全く新しい設計のターボポンプをもたらしていただろう。我々のピストンポンプの場合は、大幅な余力を持っているので、ポンプのスピードアップさせるだけで希望する推力レベルを達成できる。

リンクスでは、各ポンプは非常に強力で、大きな余裕を持って推進剤を2機(または4機)のメインエンジンに供給できる。つまり、1台のポンプが非常に強力で液体酸素を2機のエンジンに供給できるのだ。2台目のポンプは燃料(ケロシン)を同じ2機のエンジンに供給する。これがリンクス推進システムのベースラインとなる4ポンプ4エンジンだ。各エンジンは、推力およそ3000重量ポンド(※)となる。

※13.34キロニュートン

ロケットピストンポンプの利点がすべて上回っていることを考えると、なぜこれまでロケット推進システムでターボポンプが使われてきたのか、という疑問が生じるかもしれない。推力6万から10万重量ポンド(※)より小さい推力レベルでは(ていねいにいえば液体水素またはケロシンといった燃料のために)、われわれも同様の疑問を持った。しかし、上記の推力レベル以上では、ターボポンプの単位重量あたりのパフォーマンスはピストンポンプを上回るものなのだ。

※266.89~444.82キロニュートン

今後の本ブログでは、推進システムとピストンポンプ、それから熱力学的サイクルがすべてを支配する、もっと高いレベルについて論じようと考えている。

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とのことです。続報をまたないと、ピストンポンプが得意とする領域についての詳報は分からなさそうです。ゆっくり追いかけていきましょう。しかし聖杯探究とはまた大きく出ていますね。

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