LANDSAT 8が満月を向く理由

2013年に打ち上げられ、観測一周年を迎えたアメリカの地球観測衛星LANDSAT 8号(LDCM)。このLANDSAT 8号が満月のたびに、地球ではなく月を向いているという記事がPHYS.ORGに載っていました。地球観測衛星が、わざわざ地球に背を向けて姿勢を変え、満月を眺めるのはなぜ? とても素敵な記事でしたので、勝手訳してみました。NASA ゴダード宇宙飛行センターの公開した解説ビデオもあります。

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Landsat looks to the Moon (w/ Video)

満月のたび、Landsat 8は地球に背を向ける。衛星の軌道が地球の夜の側にあるときには、LANDSAT8は月を指向して回転するのだ。衛星は遠く離れた月の表面を何度もスキャンして、また回転して地球の昼の側にいるときは地表のデータを集める仕事に戻る。

月ごとに月の表面をスキャンするのは、LANDSAT 8に搭載された地球観測機器が確実に光を検出する鍵だ。このために、エンジニアは計測のために一貫した光源を求めている。地球上では、サハラ砂漠などの乾燥地帯が比較的きまった量の光を反射するが、月に勝るものはない。月には大気がなく、地表の様子はほとんど変わらず、突然の隕石もない。(※最後ちょっと訳微妙?)

「LANDSAT 8にとって本当に信頼できるものが必要だったのです。キャリブレーションのために地球上の各所を探したのですが、大気があるために、地球をつかって追い求められる精度は月ほど高くないのです」と、LANDSAT 8のキャリブレーションチームのリーダー、ブライアン・マーカムはいう。

LANDSAT 8のOLI(Operational Land Imager)は、地表から反射した可視光、近赤外、短波赤外光の帯域の情報を集める。それぞれの光の波長は、眼下の地表の情報を提供する。OLIは14の検出モジュールを持ち、それぞれが500個の異なるスペクトルを記録する検出器の集まりだ。NASA ゴダードとサウスダコタにあるUSGS EROSのキャリブレーションチームは、これらの検出器が時間が経っても首尾一貫して光を記録できるようにしなくてはならない。

衛星には、OLIの検出器のキャリブレーションを行うためのランプが搭載されているが、ランプは完璧ではない。LANDSAT 7では、検出器の機能喪失よりも先にランプの光が弱まってしまった。もうひとつの選択肢として、ソーラー・デフューザーを使って太陽の光を間接的に弱めるという方法もある。

「これまで機器の安定性をモニタするために試したものはどれもすべて、機器そのものほど良くなかったのです」けれども、月は安定しているし、光も強すぎない。「月の安定性は信頼できるので、その照度条件がわかれば、機器のパフォーマンスの傾向もわかります」

LANDSAT 8の設計者は、月をベースライン・キャリブレーションとして設定した。月テストの間に、OLIの検出器が”月が暗い/明るい”という状態を示せば、ゴダードの科学者は機器が(月ではない)動作していないことがわかる。データによって、LANDSAT 8が通常の地球観測を行うときに土地被覆情報を計算するアルゴリズムを調整することができる。

ゴダードでLANDSAT 8の飛行ダイナミクスを担当するスーザン・グッドは、毎月の月スキャンはとても複雑な操作なのだという。

「14の検出器モジュールがあって、それぞれが月に沿って同じ軌道を描くようにしないと、各センサーが完全に同じデータを集めることができないのです」

飛行ダイナミクスソフトは、月キャリブレーションの間、精密に月を指向するよう計算する。タイミングは、月が完全に満月になった直後に合わされている。その後、LANDSAT 8は地球の影の側を、南極から北極へ向かって月面全体の最初のスキャンを開始するよう精密なマヌーバを行う。

この細かく精密な作業は、7~8回、各検出器の中心に月が来るように角度を付けて行われる。およそ18分間かかり、衛星はほぼ北極へ到達している。すると、地球を指向するよう再度マヌーバが行われ、昼の側のイメージングが完了する。LANDSAT 8は再び月の側へ回転して、残りの機器のテストを行う次のパスを完了、軌道を2周すると月キャリブレーションは完了だ。

LANDSAT 8の打ち上げから最初の年、月キャリブレーションによって検出器は安定していることがわかった、とマーカムはいう。月キャリブレーションや他のテストで検出器が停止していることが判明した場合は、LANDSATの土地被覆の明るさを示すローデータ処理を調節し、精密さを維持する。

LANDSAT 8のパフォーマンスチェックを定期的にするようになってから、グッドはもう満月が以前と同じだとは思えなくなった。「ああ、月キャリブレーションしなきゃ、って思います。月が満ちると、LANDSATが8の字してるんだなって」

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LDCMにそんな複雑な操作が。これからは、満月を見たら「LDCMが校正のお仕事中」と私も思うことにします。校正記号8の字ですね。

2014/07/14 23:19 誤字脱字をいくつか修正いたしました。

 

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