人工衛星が捉えたISILの破壊活動 亜硫酸ガスの広がりは宇宙からどのように“見える”のか

2016年10月、イラクの化学工場火災に伴う亜硫酸ガスの噴出を観測した、Aura衛星のイメージ。Nimbus7やMeteor3などの気象衛星に搭載されたTOMSを継承するオゾン監視装置“OMI”を搭載する。Credit:NASA

2016年10月、イラクの化学工場火災に伴う亜硫酸ガスの噴出を観測した、Aura衛星のイメージ。Nimbus7やMeteor3などの気象衛星に搭載されたTOMSを継承するオゾン監視装置“OMI”を搭載する。Credit:NASA

■2016年、イラクの化学工場火災

10月27日付けのABCニュースによると、イラク北部で人為的に発生した二酸化硫黄(亜硫酸ガス)が広がっており、NASAの運用する人工衛星から被害が観測できる事態になっているとの報道がありました。これは、イラク北部でISILが支配するモスルに近く、硫黄の化学工場があるアル・ミシュラクで発生したもので、ISILの破壊活動によって炎と煙に含まれる二酸化硫黄ガスが付近一帯に広がっているというものです。

モスル奪還に際して、ISILが手段を選ばない破壊活動をしていると伝えられていますが、その痕跡は人工衛星からどのように「見える」のか、またどのような衛星が何のセンサーを使って観測しているのか、整理してみました。

まずは報道による被害状況です。10月23日付けのアルジャジーラの報道によると、モスルの南側、チグリス川沿いのアル・ミシュラク周辺でISILが10月20日ごろに硫黄を原料とした化学薬品を製造する化学工場に放火し、付近に大量の二酸化硫黄のガスが広がっていると伝えています。イラク軍を支援する米軍は、付近のケイヤラに拠点を置いていますが、このケイヤラの病院には翌21日以降に呼吸障害や目の痛みなどを訴えて来院する人が増えており、付近の村では民間人2人が死亡したとイラク軍司令官による発表があり、1000人近くの人が被害を受けているとのことです。

ABCニュース報道では、モスルの南側およそ80kmほどの米軍の拠点では、屋外活動が制限されるレベルの化学物質が観測されており、自主的にガスマスクを着用しているといいます。また、イラク軍とクルド人部隊にはこうした装備が不足しているため、24000個の化学マスク提供を開始したとのことです。

こうした状況について、NASAの地球観測研究部門The Earth Observatoryは、10月22日に観測された衛星画像に見られる二酸化硫黄の噴煙の状況を発表しました。NASAサイトの発表から、観測の経緯を詳しく見てみます。

2016年10月20日、NASAの地球観測衛星Terra(テラ)とAqua(アクア)に搭載された同型の光学センサー“MODIS(モディス)”が、アル・ミシュラク付近で化学工場の火災が置きた際の熱を捉えました。翌日には、白煙が工場から広がり、Aura(オーラ)搭載のオゾン監視装置(OMI)とNASA/NOAA共同運用の気象衛星Suomi NPP搭載のオゾン観測装置(OMP)が観測したところ、二酸化硫黄のガスがイラク北部から中部に広がっていることがわかりました。二酸化硫黄はすぐに対流圏の最下層である惑星境界層(地上から高度1~2km程度)に広がり、風に乗ってさらに広がっているといいます。
観測にあたったミシガン工科大学のサイモン・カーン博士によると、相当な量の二酸化硫黄が対流圏の下層に広がっていると考えられるとしています。

[1]10月24日観測の二酸化硫黄観測結果を地図に重ねたもの。Credit:NASA

[1]10月24日観測の二酸化硫黄観測結果を地図に重ねたもの。Credit:NASA

NASAが発表した2点の画像の内、[1]は10月24日にOMPが観測した噴煙の広がりを地図に重ね合わせたもの。[2]は10月22日MODISセンサーが撮影した光学画像で、硫酸塩のエアロゾルが光を反射するため、白っぽく見えるものです。二酸化硫黄の噴出量は相当なものと見られ、カーン博士は「仮にこの二酸化硫黄が火山の噴火で噴出したものだと考えると、2016年最大の噴火が起きたことになる」とツイートしています。

[2]2016年11月22日撮影、MODISセンサーによるアル・ミシュラクの火災。上の白い噴煙が硫黄の工場からのもの。Credit:NASA

[2]2016年11月22日撮影、MODISセンサーによるアル・ミシュラクの火災。上の白い噴煙が硫黄の工場からのもの。Credit:NASA

このように、火災と二酸化硫黄の状況が衛星を観測した事例は、実はこれが初めてではありません。どころか、13年前にほぼ同じ状況で、同じ化学工場の火災を人工衛星から観測した事実があり、これが今回の発表につながっているのです。

■2003年、人工衛星から見えた亜硫酸ガス

2003年6月、同じアル・ミシュラクの化学工場で1カ月近くにわたって国営化学工場での火災が続いた事件がありました。総量で600キロトンにもおよぶ二酸化硫黄が大気中に放出され、人為的な二酸化硫黄源としては史上最大級となっているのです。

人工衛星(Nimbus7やMeteor3などの気象衛星)に搭載されたオゾン全量分光計TOMSは、1980年代から大気中の二酸化硫黄を観測してきた実績があります。オゾン層を観測するためのTOMSがなぜ二酸化硫黄を観測できるのかというと、二酸化硫黄を含んだ気体は、TOMSがオゾン量を測定するために使っているのと同じ波長の紫外光を吸収するからです。。ちなみに、同型のセンサーは日本の地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり(ADEOS)」にも搭載されていました。

とはいえ、通常は二酸化硫黄は成層圏や対流圏の上層で観測されることが多く、火山性でない二酸化硫黄の放出を捉えたことはあまりありませんでした。人為的な放出で最大級のものは、ロシアのノリリスクにあるニッケル鉱山からの放出で、冬期の地上が雪で覆われて反射率が高まった時期に、十分な紫外線があれば観測できる、というものでした。

ところが2003年の6月24日以降、アル・ミシュラクの硫黄を精製する国営化学工場が放火され(燃え始めたのは6月25日とされています)、1カ月近くにわたる火災で硫酸や硫酸アルミニウムの原料となる推定5億トンもの硫黄が燃える事件がありました。火災の炎は、当時打ち上げから間もないTerraとAquaのMODISセンサーから捉えられ、続いてTOMSセンサーを搭載したEarth Probe(アース・プローブ)衛星が二酸化硫黄の観測を開始しました。約20日間にわたる観測の結果、二酸化硫黄はイラク国内からシリア、イラン、トルコ、アゼルバイジャン、カスピ海南岸にまで広がったことが確認されています。6月末には、化学工場から1350km離れたペルシャ湾の南岸にまで二酸化硫黄が到達しました。

火災と煙による環境と健康への影響は周辺100平方kmに広がり、モスル上空にも到達したといいます。付近の村では、火災直後に52ppm二酸化硫黄を吸って2名が死亡したとの報告もあります。二酸化硫黄濃度が人体に及ぼす影響は「50~100ppm」が「短時間(30分~1時間)耐え得る限度」とのことですから(横浜市の環境創造局の資料による)、すぐに避難できない状況下での52ppmという数値はとても危険なレベルだということになります。

この2003年の火災のとき、衛星による二酸化硫黄観測を開始したのが、先にコメントを紹介したサイモン・カーン博士らのチームです。このときもTerraとAauaのMODISセンサーがまず火災の炎を捉えました。このとき、EP衛星に搭載されたオゾン観測装置EP TOMSがイラク上空を通過するのは、UTCの7:00~8:00(現地時間では11:00~12:00)でした。6月25日から7月15日にかけて18日間の観測が行われました。

これまで、火山から二酸化硫黄を観測してきた際の経験からすると、太陽天頂角が低いときのエラーの度合いは10~22%ほどで、二酸化硫黄を含んだ硫黄エアロゾルを光が通過するときの光学的深さが中程度だとすると、どちらかというと二酸化硫黄の量を多く見積もる方にエラーがおきるといいます。また、地表の反射率が高い場合はエアロゾルの量を判定する衛星のセンサーは敏感に働くようになるといいますが、よく晴れたイラクの砂漠の環境では、反射率はそれほど高くありません。また、火山から放出された二酸化硫黄は高度3~4km程度から上昇を開始するのが通常ですが、今回は殆どが7kmより下方にあり、7月1日には10~15kmに達することがあったといいます。このことから、通常はEP TOMSがこんなに地表に近い層での二酸化硫黄を観測することはほとんどなく、今回の推定の二酸化硫黄の量は、かなり少ない見積もりなのではないかというのです。

この説明はそのままでは飲み込みにくいので、整理してみましょう。二酸化硫黄が観測しやすい条件は火山の噴火、または冬場のシベリアの鉱山ということでした。また、二酸化硫黄は、ある波長の紫外線を吸収することから衛星のオゾン観測装置で観測できるのでしたね。

【観測しやすい条件】
・冬期のシベリア:太陽天頂角が低い(光がななめに差し込む)→紫外線が大気を通過する距離が長くなる→紫外線が多く二酸化硫黄に吸収される
・冬期のシベリア:地表の反射率が高い→衛星のセンサーがよりたくさんの情報を集められる
・火山:二酸化硫黄が放出されるスタート地点が3~4kmなので、到達する高度が高い→衛星から見えやすい

といった要素があるのだと思います。これに比べてイラクは中緯度帯に位置し、しかも夏場です。衛星が上空を通過する時間帯も昼ごろの太陽が天頂に近い時間帯で、紫外線が大気を通過する距離はシベリアより短くなります。また、砂漠は反射率が低くて捉えにくい。かつ、山の上ではない地上からの二酸化硫黄噴出、とこれまでの観測例の反対をいくような観測しにくい条件が揃っています。にもかかわらず、観測できているということから、「これは相当量が放出された」と考えてよい、ということなのではないでしょうか。

化学工場の火災が増加する二酸化硫黄源だとすると、1日当たりの放出量は活発な火山の噴火に相当するといいます。28日間の累計の二酸化硫黄放出量は600キロトンと考えられ、エラーを考慮しても464~655キロトンの範囲で、1日あたりの量は21キロトンになります。EP TOMSによる二酸化硫黄の推定放出量とMODISによる熱赤外のデータを重ねたグラフを観ると、7月7~8日ごろまで大きかった放出量はその後減り始めています。これは、地上での消火活動が進んで7月8日ごろにはある程度まで鎮火してきた、という当時の報告と一致します。さらに後になって、事態がほぼ終息したころには、TOMSでの検出も限界に近づいています。

こうした13年前の経験があって、今回のアル・ミシュラクの化学工場火災でも、新たに衛星が二酸化硫黄の観測を行うことができたのだと思われます。地球の環境を調べるためにオゾンを観測する人工衛星が、同じセンサーを使って人災を観測し、被害を減らす方向に活躍できているとすれば、科学技術が設計当初とは違う目的ではあるけれども役立っているわけで、「あってよかったでしょう」と言いたい気持ちはあります。ただ、13年前と同じ場所、同じ工場で同じ放火による被害が起きているわけで、どうみても、「硫黄の工場に放火すると大きな被害が起きる」ことをISILが過去の経験から悪い方に学んでやっているわけですよね。火山の噴火のように、人為的にはコントロールできない大きな地球の活動に際して行うのであればともかく、今回の件に関しては、観測しているNASA、ミシガン工科大学をはじめとする科学者の方々も、内心手放しで喜べないと感じているのではないかと思わずにはいられません。

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プラネット・ラボの超小型衛星があればLANDSATはいらない?

3月16日付のNew York Timesに、超小型衛星コンステレーション構築を開始したリモセンベンチャー企業、Planet Labs社の紹介記事が掲載されています。同社の4kg程度の超小型衛星「Doves(はと)」シリーズ衛星のビジネス紹介であると共に、アメリカの宇宙ベンチャー企業ビジネスの良い紹介記事になっていますので、興味深く読みました。
Start-Ups Aim to Conquer Space Market

Planet Labs社サイトより。ISS「きぼう」エアロックからのDoves衛星放出

記事中で紹介されているDove衛星は、国際宇宙ステーションから次々と放出が行われている超小型衛星放出機構によって軌道上に展開されています。Japanese astronautsは、ISS日本実験棟「きぼう」から超小型衛星の放出を担当されている、若田光一宇宙飛行士のことですね。放出に当たって不具合も報告されているのですが、Planet Labs社は同型衛星によって全131機ものコンステレーションを構築するそうです。多少の不具合は織り込み済みなのかもしれません。また、民生品の機器(ノートPC用のバッテリーなど)を衛星開発に採用していると書いてあります。軌道実証は行われていない、フライトプルーブン「ではない」コンポーネントを採用して開発費を抑え、軌道実証と衛星コンステレーションのシステム構築を同時進行で進めているようですね。衛星は、ITベンチャーの製品と同様にバージョンアップを繰り返しており、現在開発中のグループは、すでに軌道上にある旧世代の衛星から数えるとVer.9にあたるそうです。

こうした新興の宇宙企業はthe space start-up、宇宙スタートアップと呼ばれ、シリコンバレーのITベンチャーと同じ開発手法だと紹介されています。そして、Silicon Valley is taking its disruptive ways into outer space. (シリコンバレーが宇宙に雪崩を打ってきている)とも。同様の企業として、すでにISSへの補給船商業打ち上げを2度成功させた(3回目は延期になってしまっていますが)、宇宙新興企業の筆頭Space X、昨年11月の衛星初打ち上げ以来、高解像度リモセン画像や動画を次々と公表しているSkybox Imaging、モハーヴェ宇宙港で再使用ロケット開発を行っているMasten Space Systemsなどが紹介されています。

ビジネス手法として、シリコンバレーベンチャーと同様の宇宙開発は支持を得ているようです。少なくとも、Planet Labs社は、同社の未公開株6500万ドル相当以上の投資を獲得しているとのことです。

それでは、宇宙開発もこれからは民間の時代だ、日本だって軽薄短小の技術を持っているので、これからは超小型衛星開発に乗り出せばいいのだ、となるかというと、それは少し違うのではないかと思っています。

記事では、低コストで開発でき、高頻度で地球観測が可能なDove衛星の比較対象として、NASAが打ち上げ、USGS(アメリカ地質調査所)が運営するLANDSAT8号(LDCM)が挙げられています。Dove衛星の500倍もの重量があり、開発費は10億ドルもかかっている。LANDSAT8号は地球上のある地点を撮影し、次に同じ地点の上空に来るまで2週間以上(回帰日数は16日)もかかるのに、Dove衛星なら(コンステレーションが完成すれば)毎日でも同じ場所を撮影できる。Dove衛星搭載のコンピュータが6か月前の最新モデルであるのに対し、大型衛星のコンピュータは10年前の性能……なんだか、国費衛星はムダのかたまりみたいですね。

そのムダに見える機能こそが、まだまだ求められているのだというコメントが紹介されています。気象や農業の専門家によれば、LANDSATのような大型衛星が搭載している赤外線イメージャのデータが専門分野では必要とされており、超小型衛星は同様の機能を持っていません。比較の対象にならないので、「真の競争はまだ始まっていない」ということです。

さらによく読むとDove衛星はかなりいろいろなものを切り捨てているからこそ、コストを削減できることがわかります。軌道実証を経ていない衛星部品を採用していることもそうですし、衛星には推進システムを搭載していないそうです。衛星に推進システムがないということは、スペースデブリの接近が懸念されても、軌道を調整して避けることができません。
※念のため、Dove衛星の軌道はISSと同じ高度400km付近です。数多くの地球観測衛星で込み合っている高度600~800kmの領域ではありませんし、衛星の運用終了後の地球大気圏への再突入も早くなります。ただ、ISSへのデブリ衝突が懸念されているわけですから、問題はやはりあるといえます。

衛星が、スペースデブリのような潜在的なリスクに備える機能を持っていないのだとすれば、結局は誰かがそれを引き受けることになります。それは、アメリカが備えているデブリ探知、接近警告システム(NORADのレーダー群からJSPOCの警報発令体制まで)もそうですし、agiなど複数の企業の協力による、民間のSSAも始まっていると聞きました。

ISSからの衛星放出にしても、そもそもISSという軌道上施設にアメリカは大きな投資をしているわけですし、Dove衛星を運んだのはNASAとの契約のもとに商業輸送を担うオービタル・サイエンシズのシグナス補給船です。放出機構には「きぼう」のエアロックを使っていますが、NanoRacksの衛星放出機構はNASAの認証のもとに開発がすすめられたアメリカ発のシステムです。

宇宙スタートアップが開発した靴箱サイズ、9ポンドのDove衛星が軌道に乗って機能を果たすまでに、アメリカは40年にわたってLANDSAT衛星を維持して民生用リモセン衛星という市場を開拓し、ISSを構築し、スペースシャトルから商業ISS補給船事業への引き継ぎを行い、スペースデブリ監視網というかSSAの体勢を整えている。他にももっといろいろな投資をしているとおもうのですが書ききれません。

いうなれば、Planet Labsの事業はアメリカがこれまで頑張って整えてきた、宇宙の実用化という環境、宇宙特区の上に乗った事業なのだと思います。Dove衛星がコスト削減の追及のために切り捨てた何かが、後に何らかの事故の原因になるようなことがもしあれば、最終的にそのつけは国が引き受けます。ですから、それだけのバックアップ体制はできているということでしょう。

なんだか老婆心くさい文章になってしまいました。ただ、最近はアメリカの事例をもとに、同様の条件が整っているかどうかをすっ飛ばして日本も宇宙の民営化を進めるべき、といった論調があるような気がして、思うところを形にしておいた次第です。
(論拠になる資料のリンクはおいおい進めます……)

今日のNEE-01 Pegaso [5月31日午前]

日本時間5月31日午前の時点で、ナデル宇宙飛行士(@Ronnie_Nader)やEXA(@EXA_ec)のツイートから、NEE-01 Pegasoの状態についてメモしておきます。

***

  • TLEチームによれば、NEE-01のソーラーパネルは無事が確認されているとのこと。チタン軸に感謝、だそう
  • バッテリーの放電レートが予想を下回っており、何か予期しない要因があるのかもしれないとのこと
  • (意味がつかめない)アンテナのあごが地理学的で、ゴールドペガサス、クエンカ???
  • ナデル宇宙飛行士が国連に招待され、今回のデブリ衝突事故についてのディスカッションに参加するとのこと

 

三つめについて。国連というのはCOPUOSでしょうか。宇宙新興国が被った被害について、どの国も関心があると思われます。また、これまで宇宙先進国が活動する中で発生したデブリが新興国の宇宙活動に損害を与えた、となれば扱いを間違うと先進国・新興国の対立の種になることだってありうると思います。当事者としてのエクアドルに参加いただいて議論し、共感や支援を申し出る機会を作っておくのは大いに意味がありそうです。

エクアドル宇宙庁EXA衛星復旧計画発表(仮訳) [5月28日付]

5月28日深夜、EXAサイトに発表されたNEE-01の状態と復旧オペレーションに関する発表の仮訳です。こちらもスペイン語→英語自動翻訳を私が日本語にしたものです。元サイトへの確認をかならず行ってください。

***

EXA NEE-01 PEGASUS復旧オペレーションを打ち上げ

2013年5月28日 グアヤキル,エクアドル宇宙機関EXAは、エクアドル初の人工衛星NEE-01(ペガス-ペガサス)が23日0時38分17秒、1985年7月に打ち上げられたTsyklon-3ロケットの最終ステージで軌道上ではSCC-15890のカタログ番号がつけられた物体およびその周辺を包むように付随している粒子群と側面衝突したものの生きのびたという23日火曜日の事象の後、軌道データを分析し航路をモニターしている。

耐放射線シールド”NEMEA(ネメア)”およびチタン基板の太陽電池パネルは衝突に耐えたものの、衛星はアンテナの指向を失い、二つの軸を中心に激しく動いているため、現在も通信の受信、およびコマンド送信ができない状態にある。

EXAはNEE-01ペガサスが完全に機能する状態にあるものの、回転によって地球局”HERMES-A”はその信号を1枚の画像、または整った音声に統合することができない。

EXAはコードネーム”PERSEUS ペルセウス”と名付けた復旧オペレーションを3か月後に打ち上げる開始する予定である。その後もNEE-01の制御を取り戻すことができない場合は、保険に関する一連の手続きを開始する(かつ、TVでその経過を報告する? 不明)

@SaYo555 さんより、launchは”打ち上げ”の意ではなく、始動、スタートアップのことではないかとのご指摘がありました。復旧オペレーションが軌道上に機器を送り込んで行われるとの記述はありませんので、ご指摘を受けて訂正いたします。(5月29日13:04)

日本時間5月29日07:30追記

「ペルセウスはNEE-02に搭載する機器ですか?」と質問したところ、ナデル宇宙飛行士から質問への回答メンションいただきました。

@ayano_kova Tnx Ayano San, PERSEUS is an acronym for a coupled dynamics technique we are trying here, NEE-02 Mission is unchanged..

(”ペルセウス”の名は、われわれがここで取り組んでいる二つのダイナミックな技術の頭文字を合わせたもので、NEE-02のミッションには変更はありません…)

ということは、ペルセウスミッションはNEE-02と別のなにかを打ち上げるということでしょうか。詳細はまだよくわかりませんが、随時わかりましたら追っていきたいと思います。

エクアドル衛星デブリ衝突事故 プレス発表の断片

エクアドルの人工衛星 NEE-01 Pegasoスペースデブリ衝突事故について、現地時間27日15:00からの公式発表は行われたようです。Web上で確認できる文書はありませんが、発表会場であるecu911samboツイートに発表内容がいくつか載っています。

※スペイン語→英語自動翻訳を元にしています。

  • プレスカンファレンス議長は、ロニー・ナデル氏
  • ナデル氏の発言によれば、衝突後も衛星は「100% operational」とのこと。
  • 衝突は「long shot」とのことで(極めてまれな事象ということか?)、衛星はまず衝突に耐えた
  • また、衛星は復旧可能である。対処すべきことは一つではないが、運用を継続すべく作業を続けている
  • 緊急事態に直面して得られた経験は、国家にとって非常に有益である

日本時間28日09:00現在、確認できた内容は以上です。

日本時間28日15:50追記

  • NEE-01復旧オペレーション名発表 “PERSEO(ペルセウス)”

エクアドル宇宙庁EXA暫定発表(仮訳) [5月23日付]

現地時間5月23日(日本時間5月24日)エクアドル宇宙庁 EXAサイトに掲載されている、NEE-01衝突事故に関する暫定発表の仮訳です。※スペイン語→英語自動翻訳を私が日本語訳にしたものです。かならずリンク先サイトへの確認を行ってください。

***

NEE-01 ペガサス、ロシアのロケット残骸との側面衝突するも生存

2013年5月23日 グアヤキル,エクアドル初の人工衛星NEE-01(ペガス-ペガサス)は、本日0時38分17秒、1985年7月に打ち上げられたTsyklon-3ロケットの最終ステージで軌道上ではSCC-15890のカタログ番号がつけられた物体およびその周辺を包むように付随している粒子群と側面衝突したものの生きのびた。

耐放射線シールド”NEMEA(ネメア)”およびチタン基板の太陽電池パネルは衝突に耐えたものの、衛星はアンテナの指向を失い、急激に2回転したため、通信の受信、およびコマンド送信ができない状態にある。

ペガサスの仲間であるアルゼンチンの衛星CubeBug-1も軌道上での姿勢の変化を報告しており、少なくとも粒子一つの衝突を確認している。アルゼンチンチームは、衝突の結果としてNEE-01 ペガサス軌道傾斜角のわずかな変化を報告しているが、我々は本ニュースレターにおける上記の件に関しては、さらに観測を必要とするためまだ確認できていない。まもなくエクアドル上空を衛星が通過する予定であり、確認できる。EXAは、変化の大きさを確認し軌道計算をし直すため作業を続けている。
宇宙活動理事会EXAは、一段階ずつ衛星のデータを収集し分析し、衛星の機能回復が可能であるか結論付けるとともに、5月27日午前10時にSamborondon ECU911においてメディア向けの発表を行う予定である。

プレスコンタクト:Harry Ruiz、hruiz@exa.ec

エクアドル初の超小型衛星NEE-01 旧ソ連ロケット由来のスペースデブリと衝突事故

毎日.jp とhttp://goo.gl/GXlbB AFP BBNewsでも http://goo.gl/Js2Xb 報道されていますが、5月23日、エクアドルの超小型衛星(キューブサット)NEE-01 Pegasoが旧ソ連時代のロケット残骸と軌道上で衝突しました。
エクアドル宇宙庁EXAの5月23日暫定発表によれば、NEE-01と衝突したのは1985年に打ち上げられたTsyklon-3最終ステージ、カタログ番号SCC-15890です。
暫定発表によれば「側面衝突」とのこと。NEE-01は軌道を維持しており、衛星本体、太陽電池パネル、耐放射線スクリーンは衝突に耐えました。ただしアンテナの方向が変わった(2回転した?)ため、地上局との通信ができない状態になっています。
エクアドル宇宙庁は現地時間5月27日月曜日メディア向けに公式発表を行う予定としています。(日本との時差は14時間、日本では28日になると思われます)
現状把握にはアルゼンチンの小型衛星「CubeBug1」関係者が協力しているよう。CubeBug1は、NEE-01と同時に今年4月に長征ロケットで相乗り打ち上げの仲間です。@CubeBug1
現状についてのソースは主にエクアドル宇宙飛行士でEXAダイレクターのロニー・ナデル氏(@Ronnie_Nader)。日本時間24日午後5時ごろまで活発にツイートされていたが現在休止中。※その後、24日23時ごろからまた精力的にツイートを開始しています。

【NEE-01諸源】
愛称”Pegaso”はペガサスのこと。キューブサット1U(10×10×10cm)重量約1.2kgの超小型衛星。太陽電池パネルを広げた状態で幅約70cm。高度650km、軌道傾斜角98.05度。2013年4月25日中国・長征2Dロケットにて打ち上げ。地球周回軌道からの撮像、生映像の送信を目的としていたとのこと。2009年よりナデル宇宙飛行士らを中心に開発を開始し、教育ミッションも目的としています。5月16日にYouTubeに撮影動画を公開しています。打ち上げからわずか1ヵ月でのデブリ衝突という悲劇でした。


外務省公開資料によると、2011年末時点でのNEE-01打ち上げロケットはロシア・ウクライナ合弁企業ISCコスモトラス社(ドニエプルロケットか)でした。実際は長征にて打ち上げています。変更のいきさつは私はまだ把握できていません。
エクアドル人工衛星計画はこれ1台ではなく、今年8月にNEE-02 KRYSAOR(クリューサーオール、ペガサスの兄弟)打ち上げが予定されています。
NEE-01とSCC-15890の衝突の危険性についてはJSpOCが警告していましたが、NEE-01は推進機関を持たないので衝突回避もできずどうにもならなかったと思われます。

国家初の人工衛星が打ち上げからわずか1ヵ月でデブリ衝突とは衝撃的な事態です。NEE-01の通信回復を祈っています。感想になりますが、人工衛星では最小クラスのキューブサットでもデブリ衝突があり得るということも驚きです。また、高度650kmは地球観測衛星で大変に混みあっているところで、日本の衛星でいえば「だいち(ALOS)」も「いぶき(GOSAT)」ほぼそこです。

***

というようなことをつらつらツイートしておりましたら、当のEXAよりナデル宇宙飛行士からメンションが来て大変驚いております。
@ayano_kova Hello Ayano San, you can direct your questions to spaceops@exa.ec
@ayano_kova Domo Arigato Ayano San, latest release in http://exa.ec/bp52
「NEE-01の無事をお祈りしております」というようなことしか申し上げられませんでしたが、運用中の人工衛星のデブリ衝突事故は大変に気になるところです。続報を待って追記したいと思います。