Photo courtesy of Stan Gehrt

東京のタヌキとか、日比谷公園のスズメとか、都会の中の野生動物に関する話題が好き。シカゴ都市圏のコヨーテについて数年来研究を続けているという、オハイオ州立大学のStanley D. Gehrt 准教授のファンでありまふ。論文が次々と発表されているようなので、現時点のまとめをつくってみました。

北米都市圏で繁殖するコヨーテ
まずはざっくりとした紹介。オハイオ州立大学のGehrt准教授はシカゴ周辺のコヨーテの生息数を観察するところから6年にわたって研究を行ったという紹介。そんな数いないだろうと思っていたら、「コヨーテのいないところなんてなかった」というくらいあちこちにいて驚いたと。
・都市圏のコヨーテは、もっと田舎に住んでいる仲間よりも夜間に活発に行動している
・公園とか、工業団地のビルとアパートの間とか住んでいるコヨーテまで
・人間とトラブルになることはあまりない。コヨーテは人間に見られることを好まない
・普通はげっ歯類とか食べている。増えすぎたCanada geeseの生息数調整にも貢献(卵を巣から持ち出して、埋めて取っておいたりするらしい)

都市風景の中のコヨーテの生態
2007年発表。
生息数やコヨーテのホームレンジなどについて。

都会のコヨーテはリアルが充実:100%一夫一妻制を維持
最近の発表。236頭のコヨーテにGPS首輪をつけて、行動調査と、組織の一部から遺伝サンプル調査を行ったら、都会のコヨーテは一夫一妻制を堅持していてとにかく浮気知らずだったという。
種としては一夫一妻制でいわゆる”おしどり夫婦”でも、実際には多少のパートナー替えは見つかるのが常らしいが、とにかくコヨーテ夫婦はびっくりするほどお互いに忠実なんだとか。都会のえさの豊富な環境では、メスは一度に複数の子を産める。オスはメスに寄り添って子育てに協力することで、自分の子孫を残す機会を増やせるという。コヨーテは賢くて、オスは「子が自分の子孫であることを知っている」と言われるのだそうな。
オスが病気や事故死して夫婦別れとなったケースが3例あるそうなのだが、2例では残されたメスのコヨーテは、しばらくして夫婦のテリトリーから姿を消したんだとか。3例め、オスが交通事故で死んだケースでは、メスは平和裏に再婚したそう。
ワイリーコヨーテがロードランナーばっかり追いかけまわしている間に、シカゴの都会に出てきたコヨーテはラブラブ夫婦関係を築いていたわけですよ。「あなた」「俺の子かぁ」とかってリア充。いやリア獣。

 

イリノイ州クックカウンティ コヨーテプロジェクト
都会のコヨーテの生態とマネジメント
オハイオ州立大学School of Environment & Natural Resources も協力している都会のコヨーテ保護プログラムらしい。都市環境で人間とコヨーテの共存を目指すよう。

まだまだ資料も読み込み中。続報続けたいです。

それから、Gehrt准教授はきっとコヨーテラヴ。一頭一頭、必ず「僕とコヨーテ」を撮るんだって。絶対愛あるよね。